ロンドンでミュージカル『Moulin Rouge!』観劇(2023年1月23日)感想
こんにちは、Beeです!
先週のことになりますが、ロンドンでミュージカル『Moulin Rouge!』を観劇して参りましたので、感想や日本版への意気込み(笑)を書き留めたいと思います!
〈目次〉
【『Moulin Rouge!』とは】
文字赤くしてみました(笑)。
知ってるよう!という方は飛ばしてくださいね。
そもそもムーランルージュとは、パリのモンマルトルに実在するキャバレーのことで、
フレンチカンカンなんかのショーが有名な場所です。
今でも立派な観光地で、普通に訪れることができます。
残念ながら私は行ったことないです…。あ、あそこなんだ!と思って通り過ぎたくらい…。次回!
そして実在するこのムーランルージュを舞台にして作られたのが2001年上映の映画『ムーラン・ルージュ!』です。
ユアン・マクレガーとニコール・キッドマン主演のこの映画。
今回はミュージカル版にフォーカスするので映画版については触れませんが、あらすじはミュージカル版とはやや異なります。
いよいよここから話題をミュージカル版に移します。
映画版をもとに2019年にブロードウェイで初演を迎えた本作。
映画版『レミゼラブル』のアンジョルラス役でも有名なアーロン・トヴェイトが出演したことでも話題になり、その年のトニー賞では作品賞・主演男優賞を含む10部門で受賞しました。
この作品の最大の特徴は、既存の楽曲を使用したいわゆる「ジュークボックス・ミュージカル」であるという点。
「マンマ・ミーア!」や「ジャージーボーイズ」なんかがこれに当たりますね。
ただ、時代もジャンルも超えてここまで多様な楽曲を使用しているジュークボックス・ミュージカルは他にないかも。
使用楽曲は、マドンナやレディー・ガガ、アデルなどの、普段洋楽をあまり聞かない方でも一度は耳にしたことのあるような有名なものばかりです。
唯一の作品オリジナル楽曲は『Come What May』。
本当にこちらの一曲だけ!そしてめちゃめちゃいい曲です!
【あらすじ・登場人物 超簡単まとめ】
こちらも、知ってるよう!という方は飛ばしてくださいね。
〈主要人物〉※青字はミュージカルオタクに伝われ!の説明
- サティーン:ムーラン・ルージュの大スター。超美人! レントのミミ、鐘のエスメ系。
- クリスチャン:作曲家を目指す青年。優男。 レミゼのマリウス系。
- ジドラー:ムーラン・ルージュの経営者。 キャバレーのMC、鐘のクロパン系。
- デューク:サティーンを気に入り、ムーラン・ルージュの財政に手を貸す。ヴィラン!
- トゥールーズ・ロートレック:足に障害を抱えた画家。サティーンを愛しているが、クリスチャンと友人になり、二人を陰から見守る。 パリアメのアダム系。
- サンティアゴ:タンゴダンサー。クリスチャンとトゥールーズの良き友。よくいる清涼剤タイプ。
- ニニ:サティーンに次ぐダンサー。2幕冒頭サンティアゴとのタンゴが見せ場。 サイゴンのジジ系。
ちなみに、ロートレックは実在の画家。
美術に疎い私も一度は教科書で見たことがありました。ムーラン・ルージュに通い、よく踊り子の絵を描いていたそうです。
〈あらすじ〉
19世紀末、アメリカからパリにやってきた作曲家志望の青年クリスチャンは、そこで知り合ったトゥールーズ、サンティアゴに連れられて訪れたムーラン・ルージュの大スターであるサティーンに一目ぼれする。
サティーンの方もクリスチャンに恋をするが、ムーラン・ルージュの経営難ゆえに援助を必要とするジドラーは、公爵デュークの援助を得るため、彼女を愛人として引き合わせようとしていた。
いよいよデュークがサティーンの楽屋を訪れるという時に密会をしていたサティーンとクリスチャンは、(トゥールーズたちも乱入)デュークにその場を目撃されてしまう。「新作舞台の打ち合わせをしていた」と嘘をついたクリスチャンたちは、その場の即興で新作舞台のプレゼンを行う。
プレゼンは大成功し、デュークはクリスチャンたちを制作陣として迎えた新作舞台を援助することになった。ただし、もちろんサティーンもデュークのものに。
サティーンとクリスチャンはデュークに知られないよう、舞台稽古を進めながら秘密の関係を続けるが、実はサティーンはある病気を抱えていたのだった…。
【劇場】
前置きが長くなりましたが、今回私が観劇したロンドン公演は2021年に初演を迎え、現在ウエストエンドのthe Piccadelly Theatreで上演されています。
the Piccadilly Theatreは、地下鉄Piccadilly Circus駅を出てすぐ。
「Theatre」の表示を辿って出口を出ればすぐに赤い光が見えてきます!
入場してすぐ右にはグッズ売り場がありました。
いつも通りプログラムを購入したかった私ですが、ここで売ってるのは写真メインの大きいプログラムだけとのことでした。
キャスト情報が載っている小さい方はバーでしか売ってませんでした。
そう、余談ですがウエストエンドって、大抵プログラムが2種類ありまして、
・大きくて値段が高い方(写真がいっぱい。文字ほぼなし)
・小さくて値段が安い方(キャスト情報や作品関連情報が載っている)
のどちらかになります。
私は、よっぽど大好きな作品か、好きな役者さんが出ている場合以外は小さい方だけ買うようにしています。
そして客席に入ると、これまた真っ赤!
若干ネタバレになるかもですが、開演前からキャストが舞台上にいて演技をしてるので、早めに劇場入りしておくとよいかも!
私はプログラム買うためにバーに並んでいたので結構ギリギリに。もう少し前から見ておきたかったなぁ。
【感想】
一言で表すと、
爆烈エンターテインメント!
でした!
とにかく盛り上がる。楽しい。ライブ!
とはいえ、私も盛り上がりつつ、正直なところ一幕は「楽しいけど好みではないなぁ」の気持ちで観ていました。
ジュークボックス作品の特性かもしれませんが、
みんな知ってるでしょー?!
さあこの曲くるよ!
盛り上がれー!
のテンションで有名楽曲を絶え間なく畳みかけてきます。
なのに物語の展開はテンポ遅くて進まない。
ミュージカルを普段見ない人でも盛り上がれるのが魅力なんだろうな、と思います。
ただ、日本公演だと、和訳された有名ポップスを同じテンションで大量供給するとなるとどうなんだろう、なんて考えながら観ちゃいました。
いくら誰でも聞いたことがある曲たちとはいえ、ミュージカルファン層に刺さるのかどうか…?
(あと、もはやウエストエンドお決まりですが、ダンスのバラつき。この作品こそ、もうちょっとどうにかしてほしい…。)
ところが、
二幕で印象激変!
物語展開はスピードアップし、一幕の「ショー」の印象から一気に「愛の物語」へ変貌を遂げていきます。
そして何より、
クリスチャンやばい!!
一幕では優男の印象が強かったクリスチャンですが、物語が深刻化するにつれて徐々にやさぐれていきます。
クリスチャンを演じるJamie Muscatoさん。その演技力と歌唱力にとんでもなく説得力があって、一気に引き込まれました!
特に一番有名なナンバー『Roxanne』、呼吸忘れました…。
これがウエストエンドの実力…!!
物語展開的にも、劇中劇とのシンクロが効いていて見応えがあり、結果的にはミュージカル大作としての満足感が非常に大きかったです!
そしてJamieさん、観ているうちに「あれ、この声と顔、どこかで絶対観たことあるな…」と思ったら!
案の定!『Les Miserables』25th記念コンサートのJoly役の方でした!!
DVDでいつも見てた方…!感動が更に深まりました!
話は若干逸れましたが、一幕と二幕で違った盛り上がり方をする作品だったな、というのが一番の感想。
色々とひっくるめてとにかくエンターテインメント性が強い作品。
主題になっている
「Truth」「Beauty」「Freedom」「Love」
を存分に味わいました…!
結果的に見応えたっぷり、最高でした!
帰り道、普段あまり飲まないビールを買って帰りました。
←興奮伝わりますでしょうか。(笑)
【日本公演に向けて(おすすめ予習法と個人的期待】
さあ!この「Moulin Rouge!」、日本でも2023年夏に帝国劇場での上演が決まっています!
キャストも発表され、非常に楽しみですね!
最後に、おすすめの予習法と、個人的な期待をまとめます。
予習として、一番手っ取り早いのは映画を観ること。
それから、Broadwayオリジナルキャスト版のCDを聞くこと。
ここまでは普通だと思いますが、本作の場合はもう一つおすすめ予習法が。
繰り返しになりますがジュークボックス・ミュージカルということで、PlayBillの公式サイトが、元ネタの楽曲たちをセットリストとしてまとめてくれているのです!
初観劇の前には基本予習しないスタンスだけど、ポップスにあまりなじみがなくてついいていけるか不安…
という方に非常におすすめです!!
「ああ、あの曲ね!」という、本作ならではの楽しみ方ができると思います!
そして、最後に日本版への期待。少し偉そうな言い方になってしまうかも。
キャストも発表されましたが、
個人的に、重要になってくるのは以下だと思っています。
①クリスチャンの歌唱力
とにかく歌うまじゃないと。ここ超重要。前半ポップス聞かせるのに対して後半は感情むき出しの歌唱に乗せた演技力が大事になってきます。
私はクリスチャンの力に引き込まれた部分が大きかったので、個人的にはここ最重要かと。とにかく歌唱力大前提の、いろんな幅広の表現力が必要。
②サティーンのスター性
歌もダンスも大事。とはいえ、それらも含めたスター性が大事すぎる!
そもそもムーランルージュのトップスターにして、主要キャスト唯一の女性。老若男女を惹きつける色気が欲しい!
ロンドンのMellisa Jamesさん、とにかくスタイル抜群で神々しかったです!
③ダンス
特に女性陣。「ムーラン・ルージュ」という場所そのものの特異性が再現されるかが、その華やかさと迫力にかかっていると思います!
ここ、ロンドンで若干怪しく、「たぶん日本の方が上手くまとまるだろうな」と思ったところです。
④トゥールーズの演技力
ミュージカル作品によく出現する狂言回し(アダム、チェ、ルキーニetc...)までとはいかないが、自分の劣等感を抱きながらも自分の芸術を貫き、サティーンとクリスチャンを静かに見守る彼の目線は、シンプルな商業エンターテインメントから一線を画すためには超重要かと。
⑤デュークのヴィランズ感
これはもう文字通りです。悪ーいクセつよ俺様感ください。
⑥ジドラーとサンティアゴのエンターテインメント力
とにかく盛り上げてください。
【最後に】
非常に長くなりましたが、「Moulin Rouge!」観劇して本当によかったです。
ロンドンを訪れた際にはぜひ。そして日本公演が楽しみすぎますね!