『オペラ座の怪人』@イタリア・トリエステ の観劇・感想②(2023年7月12日)
Beeです!
イタリア・トリエステで観劇した『オペラ座の怪人』の感想後半になります!
念願のラミントムに感動しつつも、見慣れない演出に若干戸惑った前半。
でも非常に興味深かったのでぜひ記憶を共有したい!
ということで、後半戦です!
〈目次〉
- 【アントラクト】
- 【マスカレード~Why so silent】
- 【マネ2~ドンファン稽古】
- 【墓場】
- 【ドンファン~Point of No Return】
- 【Down Once More、Final Lair】
- 【終わりに】
【アントラクト】
この作品ファンの方なら共感して頂けると思うのですが、私はここが大好きです。
よく目を閉じてCDの音源に浸る時間を作っています(笑)
音楽に関しては全くの素人なのですが、ここが気持ちいいと作品の力が増し増しに感じられる。
イタリアプロダクション、オケめちゃめちゃよかったと思います!
本当にCDの音源を聞いているような正確さと、絶妙なテンポ感。
特に、Angel of Music⇒Music of the Night、Music of the Night⇒All I Ask of Youのメロディが切り替わる二か所。それとAll I Ask of Youのサビに入るときのクレッシェンド。大好きなんですよね。
そこが本当に気持ちよくて、音が膨らんでいく感じ。
楽器も多かったのかな?とても力を入れていたと思う。ありがとうイタリアプロダクション。
【マスカレード~Why so silent】
アールアンドレはタキシード姿。
骸骨じゃないのね、と思ったらフィルマンはまさかのフリフリピンクドレス(笑)
そしてメグがまさかのペルシャ猿でした!アンサンブル少ないから?!
(これはお猿さんスパイ説をどう解釈したらよいのか?!)
そしてね、また振付の件ですが。
マスカレードと言えば!の振付や大階段を無くす試みはいいと思うんですけど、お遊戯会チックな振付でしたね…。
全員上手から一体ずつマネキンを連れて社交ダンス風に登場するんですが、その感じも幼稚で。
もうダンスは諦めていることは理解していましたが、もうちょっとやり方なかったかなぁ、とやっぱり残念。
ただ、一部キャストが客席まで下りてきての大サビ歌唱は圧倒的でした!
振付無し、直立不動で歌うのもあってか、やっぱり歌唱クオリティは素晴らしかった!しかもファントム入れて23人しかいないのに!
(※四季は31人、WEは30人)
うん、ダンスに手が回らなくても仕方ないか!!
ラストは金色のヒラヒラ✨がたくさん降ってきました。届かなかった!欲しかった!
レッドデスで登場したファントムは最初からフェイクで録音。
楽譜を受け取ろうとしたアンドレの前にどこからか突然爆速で走って来て制止するラウル。(ラウルサイコパス説⑥)
気づいたら本物のラミントムとクリスは上手前方の客席にいてびっくり!いつの間に!
マダムを問い詰めるブラッドリーラウルの台詞回しはやっぱり滑らかで気持ちいい。(ラウルサイコ…いや、純粋にいいところ)
【マネ2~ドンファン稽古】
ここでもブラッドリーラウルの声量が優勝。
最後、みんなに説得されたクリスは「I can't!」を言わずに自分を鼓舞するようにウンウン、と頷いていました。そしてラウルの力強い宣戦布告。
これはアリでしたね!自然かも!
そもそもよく考えたら、通常演出でイラっとしてファントムに宣戦布告するラウルも、結局ボンヤリと稽古に参加するクリスも若干謎かも。
【墓場】
Wishingは正直そこまでこなかったかな…。
キーは問題ではなく、迫力とか、そもそもの声の感じが私の思ってるクリスじゃないってだけの問題かな…。
しかも三重唱、ラミントムとブラッドリーラウルの声量が正常値を超えちゃってるんですよね…。
そのせいもあってかクリスが、体格も声も存在感も大きいイケオジ二人にやりたい放題されてるお人形みたいに見えてきてしまって。
…まあ、それもあり…?と自分を納得させました。(笑)が、
Angel気取りのファントムに銅像の翼が生えてフライングを始めたところで唖然。(笑)
ここの写真も公式にあればいいのに…。
急にジャニーズ風になるラミントム、刺激が強かった…。
しかも出てくる炎が激しすぎて熱すぎて。客席も悲鳴と笑いが入り交じり。
嗚呼、イタリア…!!!!愛おしいよ。
【ドンファン~Point of No Return】
1幕で書き忘れましたが、レイエは出てきません!姿なく、誰かの声の録音が流れるだけ!人足りないのね!
そしてまたもやGianピアンジの声がすごいです。
そう思っていただけに、ファントムが出てきたときに「ん?」となりました。
だってね!ファントムの歌い方がGianさんの本物オペラそのものだったのですよ!!
衣装にも膨らみを出していたので、本当にピアンジのままかと疑ったくらい。
でも「Past the point of ~♪」からラミンさんの声だとわかるようになったので、正直、
・ラミンさんの歌い方の幅がすごすぎる
・途中までGianさんの録音だった
のどちらだったのか判断つかず。
前者なら、その時硬直しちゃったくらい、すごい。
でも本当にどちらかわからないのであまり騒がないでおきますね。(笑)
いずれにせよ、初めて見る観客にも、ファントムに入れ替わったことを気付かせたくないスタンスの演出だったんでしょうね。
クリスも最後まで全然気づかず。
気付いてからは引っ張り合いもなく、劇を続ける二人。
興味深かったのは、ファントムが自ら帽子(フードじゃなく帽子)を取ったことですね。
確かに!ファントムが自分から見せる覚悟で来てたと考える方が自然かも!
「Anywhere~♪」はもちろん爆音のラミントム。
仮面はクリスにはがされて大層ご立腹の様子。
【Down Once More、Final Lair】
期待通りどんどんぶち上っていくラミントムの勢い。すごい。
クリスはアミンタの衣装のまま地下室に到着。これも自然かも。どこでどうやってウェディングドレスに着替えさせられたんだ、って感じだものね。
ファントムがイライラとヴェールだけ着けさせます。
そして、どんどんボルテージが上がっていく中、
ラウル、半裸にサスペンダーで登場。(イタリアラウルサイコパス説⑦)
しかもムキムキ。リアルにこれ。これにサスペンダー。
いや、もっと太いかも。
リアルにこっち。これにサスペンダー。
濡れてるしこっちかな。これにサスペンダー。
いや、もう、そっちしか目に入らないよ。
嘘でしょう。
しかも、ラウルは首吊りワイヤーでスーッと本当に上に持ち上がる仕掛け。
持ち上がったラウルの裸足にマスカレードの金テープめっちゃついてる。それにサスペンダー。
嘘でしょう。(二回目)
気が散るわ。
と、そんな中でもラミントム・ブラッドリーラウルの白熱っぷりを何とか堪能。
でも、ずっとフンフン喚いていたラウル、太鼓(スネア?)の音のところで本当に動かなくなったのでまたびっくり。あれ死んじゃってるよ。ファントム急いで。
いや~…。
ラミンさんがどんなにすごい演技しても、
ブラッドリーさんがどんなに上手く歌っても、
とにかくターザンラウルのビジュアルに持っていかれてしまう!
あれは大失敗!
頼むからミラノ公演ではシャツを着せてくれ!
BWばりのビリビリでいいから!
か、百歩譲ってサスペンダー無くしてくれ!
【ラスト】
はあ。ラスト本当によかった。
(ターザンはいなくなり、)マスカレードを奏で始めた猿に向かってラミントムは手をくるくるっとしてお辞儀。
えええ。どういうこと?
道化のように仮面に隠れて生きてきた人生。
まるで惨めな演劇の終末を、自らあざ笑うかのような。
覚束ない動きと泣き出しそうな表情とは裏腹な、どこかおどけたお辞儀の仕方。
思えば一幕からずっと自嘲気味ラミントム。
確かにラミンさんぽいかも。えぐい。これが今のラミン・カリムルーのファントムか。
そして自ら猿を抱えて舞台中央へ移動し、一緒にシンバル叩く真似。
25thの、印象的な場面。ラミントムの生シンバル叩き見れちゃった。
戻って来たクリスは苦しそうに指輪をベッドの脇に置く。
気配だけでそれを察したファントムは、彼女を振り返らずに呆然と客席の方を向いたまま
「Christine, I love you」
そのか細い旋律の美しいこと!!!
「love」の部分の伸ばし方!!!
絶品!!!!!
二人顔を合わせないこのパターンも良かった~!!! 😭😭😭
もう本当すごいよかったです!!!
で、ヴェールを抱えて小さく「クリスティーヌ…」からの
「You alone can make my song take fight~♪」
ほんっと!爆音!!
ここでマックス持ってきたー!!!
いや本当に冗談抜きで、このラストの歌唱だけでチケット代元取ってる。というか、今更、改めて、7列目超視界良好で€78は本当に安すぎた。
冗談抜きで、この瞬間体中の水分全部舞台の方に持っていかれた。
ラミンさんって観る度に「こんなにすごかったっけ」って思うんですけど、(もちろんいつもすごいと思ってる前提なんですけど)、それが今回は観劇中に二重で起こりましたね。最初と、それをもう一度更新するラスト。
ここまで声量溜めてたんかーい!
最後の最後に自分のメロディに思いを乗せたところにマックスを持ってくるの。究極だわ…!!
…と、大感動していたのですが、
歌い終えてベッドに入るファントムに、
まだビリビリしている脳のどこかで「ん?」。
最初に地下室に乱入してくるのはなんとマダムジリー。
ベッドに入ったファントムと目が合い(!)、お互い手を伸ばす。(!!!)
で、ファントム、ベッドに頭から潜り込む。
…ベッド人の形してる。
そこでようやくメグや他のみんなが乱入し、兵隊が人の形のベッドに銃を向けシーツを剥がすが、そこには仮面だけが残されており。
メグが仮面掴む。
マダムに手渡す。
で、終了。
非常に興味深い終わり方でした。
マダムとファントムの繋がりを感じさせるラストは、映画版意識かあるいはラミンさんだからラブネバに繋がる伏線を意識したんでしょうかね。
面白い。
けど、ベッドか…。ベッド…?
もうよくわかんなくなってきました。
隠れるならどこでもいっか!
ラミンさんのファントムすごかったからいっか!!
以上、イタリア演出版『オペラ座の怪人』の感想でした!
【終わりに】
とにかく、念願のラミントムを生で観られたのが幸せでした!
キャストも豪華で、劇場も華やかで、歌唱全般とオケのクオリティに大満足!
長々とだらだらと書いてきましたが、以下ハイライトです。
・自嘲ファントム
・子爵様のお尻歩き
・翼の生えたファントム
・首吊りターザン
・You alone can make my song take flight
・ふて寝ファントム
〈結論〉ラウルはサイコパスだった
あ~観に行ってよかった!!
ファントム大好きだし語ることが多くて、そういえばWEでのファントム観劇については一つもブログを書いていませんでした…。ちゃんとキャスト変わるたびに観てます!
少しずつまとめていけたらいいな、と思っています!
それでは!
『オペラ座の怪人』@イタリア・トリエステ の観劇・感想①(2023年7月12日)
こんにちは、Beeです!
ロンドンから飛行機で約3時間、イタリアのトリエステで上演された『オペラ座の怪人』を観劇して参りました!
念願のラミンファントム!!!
「いつかラミンさんのファントムを生で全編観る」という、自分がどんなに努力してもどうしようもない夢を持っていた私。
ついにそれを叶えてしまいました!!!
もう~本当に感無量!!!
大好きで特別な思い入れのある作品とキャスト。(共感していただけますよね?)
もはや、まとめたり考察したりする心の余裕がないので、この目で見たものをそのまま、率直な感想と共に雑然と記録しておきたいと思います!
長くなるので前後編に分けて書きますね。
演出のネタバレありです!
※『オペラ座の怪人』好きで何度も観てるよ!な方向けになると思われます…
〈目次〉
- 【開演前】
- 【オープニング、オークション】
- 【ハンニバル】
- 【Think of Me】
- 【Angel of Music、Littele Lotte】
- 【Phantom of the Opera】
- 【Music of the Night】
- 【I Remember… ~Stranger Than You Dreamt It】
- 【マネ1】
- 【イルムート】
【開演前】
・劇場はこんな感じ。鏡のような幕?にタイトル
・舞台脇上下両側にイタリア語字幕のモニターあり
・あれ、舞台狭いぞ!
・開演直前の注意喚起アナウンスはラミントムの声(『Unmasked』のALWみたいな!)
「My Show」で録画録音をすると、「a disaster, beyond your imagination」が起こるそうです(笑)
・そして鏡が割れる爆音とともに開演!あまりの音の大きさに観客大爆笑
【オープニング、オークション】
・オークション参加者は客席に背を向ける形で着席。ラウルも車椅子ではなく普通に中央上手寄りに座る。ブラッドリーラウルはめちゃめちゃめちゃおじいちゃん!(笑)
・オークショナーも舞台上に
・ハンニバルのポスターデザインは文字のみ。悪魔のロベールの頭蓋骨もひとつだけ
・シャンデリアは舞台後方にてそのまま舞台上部に上昇
・盆になった舞台の上でアーチ型のセットが回転
タイトルロールに合わせて、時を遡るように役者が逆再生の動き
おお、アーチ型セットのサイドに付けられた鉄階段(WSS風…)でブケーが首を吊る真似。…ん?
ここで少し不安がよぎる。演出大丈夫かな…?
【ハンニバル】
イタリア人オペラ歌手Anna Corvinoさん演じるカルロッタ、本場って感じですね。生首がリアル。
驚いたのはバレエの振付。うーん!!だいぶ簡素だったんですよね…!!!
ほぼトウで立たない振付だし、立っても割とみんなつま先が浮いていてグラグラ…。
ちょっとね、公共の場では滅多にこういうこと言わないようにしていますが、
ひどかったです…。
奴隷頭の男性筆頭に、これはクラシックバレエ出身者じゃないな…と確信。
残念ですが、舞台の狭さとアンサンブルの少なさを踏まえてグッと我慢。シンガーの役割も大きく担っているのでしょう!きっと!
そもそもバレリーナたちはクリス・メグ含めてたった6人!これもきっと舞台狭いからですかね。
アンサンブルは上手から順々に登場するスタイル。人数の割に歌の圧はかなり強いです!
うん!きっとイタリア版は歌の方に力を入れているのだ!と自分を納得させました(笑)
そしていい意味で驚いたのはピアンジ役で同じくイタリア人のGian Luca Pasoliniさん!
「うわー!これがオペラのテノール歌手か!!」と思わず口が開きました!
なんかね、歌い方が違うんですよね!根本的に!高音だけど声が下から空気に混ざって広がっていく感じ。(語彙力)
象は無しでお神輿のような簡易版でした。
アールさんのアンドレ、くしゃくしゃの髪と穏やかな振る舞い。改めて凄いキャストだわ~!
【Think of Me】
クリスのAmelia Miloさん。すごく可愛いです!
高音は綺麗!
クリスティーヌというよりはディズニープリンセス寄りのポップス強めな歌い方でしたね。
【Angel of Music、Littele Lotte】
回転式アーチの片側、外向きに鏡がついていて、クリスの楽屋になる仕組みです。
メグ役のZoe Nochiさん、勢いと声量のある歌い方が好奇心旺盛なメグらしくてとてもよかった。
クリスの話はろくに聞かずに、自分が椅子に座って鏡台の小物を落ち着きなくいじりまくる演出。
これリアルかも、と思いました。だって、メグはきっとプリマの楽屋入ったの初めてですよね。
実はクリスの心配なんかより「いっちょかみ」なだけなんじゃ?という、原作寄りなメグだった印象ですね。個人的にはこのタイプのメグもあり。
そしてブラッドリーラウルは、よく日に焼けた肌と長髪ポニーテールというラウル史上最強にワイルドないで立ちで、支配人たちを伴わず、上手から音もなく唐突に登場。(ラウルサイコパス説①)
見た目と裏腹に、台詞回しがまさに流れるように速く滑らかで、少しびっくり!(ラウルサイコパス説②)
すんごく心地よくて、演技が上手いんだな~という感じ!
ここまで全体的に芝居がかった演出で決めてきている感じがしたので、もはやすこしラウルが浮くくらいのスマートな演技でした!
ちなみにブラッドリーラウルはクリス父が亡くなっていることはご存じの様子。
そして~!
ミラーからラミントムの声!!!
これはね、もうね、皆さんご存じの通りです!!(笑)
非常に怒っていました!(笑)
来るぞ来るぞ、と更に緊張高める私でしたが、姿は現さないのに「エンジェル!」と美声だけを響かせるラウルに若干気を取られる。
さっき楽屋ドア完全無視で颯爽と乱入してきたくせにそこは登場しないんかい!
今は一体何に阻まれているの?!(ラウルサイコパス説③)
【Phantom of the Opera】
上方から吊り下げられた道や、キャンドルの演出はなし。
最初に舞台前方オケピに降りて行った二人は本物だと思ったけど、直後に上手WSS風鉄格子から降りてきた二人がそのまま船に乗ったので混乱(笑)
こういう部分を解明するために、本当は複数回観劇したかったですね。
ラミントムはもちろんすごかったのですが(語彙力)、楽曲冒頭の録音から音質変わらずそのままラストまで行ったので、音が全体的にバリバリしてたのが残念。(まさか最後まで録音じゃないよね…?)
ラミントムは本編でも「Stronger」の「ger」を上げて歌ってました!
(ラミンさん名物stronger上げはこちら⇒ https://www.youtube.com/watch?v=8fKKiaSLLEY )
たどり着いた地下室。
舞台中央にオルガン、上手にベッド。(ベッド?!)があり、結構なスペースを占めていました。下手の椅子や鏡はなし。
バックにも赤っぽい色味で湖の奥の船着き場や階段の絵が描かれていて、四季版やWE版(セットはほぼ同じ)とはだいぶ異なる様相。
「Sing」の言い方、叫んだり囁いたり、自由自在に声音を操るラミントムに感動しつつも、最後は鍵盤を叩いて、観客に背中を向けた状態で「Sing for meeeee!」なので若干もったいない感じ。
【Music of the Night】
もちろんね~言わずもがなよかったです。
歌い出し、オルガンの椅子に腰かけ、客席に背を向けたままなのがニクかったですね!
ラミントムのMotNは、25周年映像やコンサートでの映像と変わらず、Seductiveという形容が良く似合うな~と改めて実感。
まさに「Point of No Return」の歌詞にも出てくる、「sweet seduction」という感じ。
ただラミンさん、コンサート時同様、好き勝手な緩急・抑揚で自由に歌うので若干オケがついていけてない印象(笑)
オケ自体はとっても良かったと思うんですけどね!すべての音がすごく綺麗でCDとの差がない「美!」な音でした。
オケも俳優も最高なのでそこが少し残念。ラミンさんのMotNの、歌のうまさだけじゃない魔力、マックスには感じきれなかったかな…。
演出としては、クリスが気絶する最後の瞬間までファントムが全く彼女に触れないのが新鮮でしたね!(触りそうで触らない紳士ファントム、アールさんとはまた違う)
ラミントムがseductiveなだけに、それを「25thの時とは違う、年齢を重ねたラミントム」ととらえるか、ミスマッチと捉えるか…。
ただ全体として、クリスが虚空のstrange new worldを見てうるうるしてる感じ、地下室のセット狭いし中央のオルガンとかベッドとか、生活感のあるモノが多くて、神秘性はあまり感じなかった。そんな世界が見えるとは思えなかったかな。
先程も書きましたが、赤っぽい背景も舞台を狭く見せている気がして、とにかく原作っぽい。エグみ、生々しさがありましたね。
そのせいかファントム(ラミントム)も(25thのような)「なんだこの生き物は!」感は薄め。うん、リアルで生々しい寄りの『オペラ座の怪人』。
人形はなし。気絶も25th版よりさらに前触れなく唐突で、むしろクリスが倒れそうになる前に、ファントムが先にいきなりお姫様だっこしたら倒れた感じ。
その時のファントムの、ふっと嬉しそうな顔はしっかり見た。見たよ。
【I Remember… ~Stranger Than You Dreamt It】
初めてのファントムを見る時、私が楽しみにしている場面(笑)
ベッドに寝かされて、起き上がったクリス。
ファントムは夢中で作曲活動に勤しんではおらず、そんなクリスに気づいていました。
「Who is that shape in the shadow~♪」と歌う間も、ファントムは自分が見られているのに気づいていて、座ったままオロオロきょどきょど。リアル。原作っぽい。
そこから豹変。
そして怒鳴り散らした後には、再び椅子に腰かけて「クックックッ」と笑うファントム。そして歌うにつれて若干震える悲しみの声…!
ここドキッとしました~!!!えぐい!!
自分のことを「ほら怖いだろう!!」と脅かして楽しむのと同時に、そうしている自分が悲しくなってしまう。
この自嘲は25thではあまり感じないなーと。「寂しいの!気づいて!」の駄々っ子かまちょ感が強いラミントムだったものね。
年齢を重ねてラミントムがどう変わるのかが楽しみでしたが、単純にお父さん的ファントムにはならなかったみたい。
常に斜め上を行くラミンさん…。やっぱりすごい…。
そして仮面を付けたら急にスン、は安定。
仮面で隠すのよね。何もかもを。
【マネ1】
やっぱりフワフワ頭が可愛いアールアンドレ。
でも、少し声が出きっていない印象。以前耳の不調のことをインスタで説明されてたので心配。歌うこと自体には影響ないとは言ってたけど…。
あまり表情はないけれど、ここでも異質な美声を響かせるGianさんピアンジ。
そして最下手にいながら全員を殺しにかかるブラッドリーラウルの声量。(ラウルサイコパス説④)
Letterの前半、舞台上手の方でずっとパンジャブ縄を使って遊んでいるメグが少し謎でした。そこにマダムがやって来て二人で支配人室にやって来る、という流れ。
やっぱり何事にも興味津々メグ、ってことかな。
【イルムート】
伯爵枠の方は、最低音を上げて歌ってましたね。
ファントムの声に同様したカーラは、気を取り直すために口に香水(?)を振りかけてもらっていました。
どうやらそれにファントムが薬を混ざていたためにカエルの声になってしまった、という設定。(映画版ですね)
そしてやっぱりバレエ…。
私も細々細々20年程度のクラシックバレエ、ダンス経験なので偉そうなこと言えないんですけど。
なんですけど、これは誰がどう見ても明らかにひどい。
後からプログラム見て確信。だいたいの方が、バレエ以外のダンスを踊れるミュージカル俳優だったようです。
だったらもう全カットしてくれてよかったのに…。
しかも、「心配ないさ〜」と言わんばかりにロープにぶら下がって背後を行ったり来たりするファントム…。まじか。
首を吊った後のブケーは出て来ませんでした。私が見えなかっただけ?
【屋上〜AIAoYリプライズ】
ここね~!
少し問題のシーンでしたね(笑)
屋上に逃げてきたクリスですが、屋上にある狭い足場みたいなところに立っている設定なんですね。
そこをオロオロ行ったり来たりするクリス。もしかして飛び降りに来たのかな、と思うような様子。
やって来たラウルにも、ひたすら「来ないで」のジェスチャー。それは興味深い。
でもね。よっぽど危険な足場なんでしょうね。ラウルがそこに腰かけるんですよ。
そして、恐る恐る横お尻歩きでクリスににじり寄りながら歌うんですよ…。
見てる方が怖いわぁ。さっきまでのワイルドさどこいった?(ラウルサイコパス説⑤)
「Then, say you share with me~♪」で声量上げて駆け寄ってきてくれるラウルを見慣れているせいで、そこさえもお尻歩きしながら歌うま響かせるラウルに強烈な違和感(笑)
(しかも長髪ワイルドマッチョ)
最後の最後にやっとクリスの手を取って「Anywhere~♪」
いやね、ブラッドリーラウル、すごいんですよ。本当すごかったの。もうAIAoY、ほぼクリスの声は聞こえないくらいすごいの。
だから余計にね、演出…!!!(自粛)
ラウルのお尻歩きの残像にやられつつも、AIAoYリプライズのラミントムの良さはしっかり見届けました。
25thもだけど、やっぱラミントムはここ絶品…。
「wing~♪」の消えそうで消えない高音の儚さ、切なさ、脆さ、繊細さ。からの爆音「You will curse~♪」
この切り替えがラミンさんの魅力ですよね…!奇跡の声帯。本当、楽器か。
シャンデリア落下時、舞台上のカーテンコールは無し。シャンデリアに乗ったファントムが客席にせり出してきて一幕終了しました。
(これも、なんかちょっとじわった。)
後編に続きます!!
ロンドンでミュージカル『アスペクツ・オブ・ラブ』観劇(2023年7月3日)感想
こんにちは、Beeです!
ここのところ時間に余裕があり、観劇直後にブログを書くモチベを保てております。
今回観劇したのはこちら!
Aspects of Love
日本でも劇団四季が上演していた本作、私は今回初観劇でした!
巨匠アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲作品ということでずっと興味を持っており、
名曲『Love Changes Everything』はいたるところで聞いていたので、ロンドンで再演と聞きつけ即チケット購入しました。
しかも、な、な、なんと、あのマイケル・ボールさんが出演!!
ということで予習もバッチリ。非常に楽しみにしていたのですが…
ハプニングやラッキーもありましたので記したいと思います。(笑)
こちらは四季版↓↓↓
〈目次〉
【あらすじと相関図】
舞台は二次大戦後のフランス。
19歳のアレックスは、舞台女優のローズのファンになり、自分と一緒に別荘に来ないかと誘う。
彼がまだ若いことを気にしていたローズだったが、舞台も中止になってしまったため、ついていくことにした。
別荘で楽しい時を過ごす中ローズもアレックスに惹かれていくが、そこへアレックスの叔父であるジョージがやってくる。実はこの別荘はジョージのものだったのだ。
ジョージは二人を温かく迎える。
しかしローズが彼の亡き妻のドレスを着ると、その姿があまりに妻に似ていたため、ジョージもまたローズに惹かれてしまう。
やがてローズは電報で仕事に呼び出され別荘を去るが、他の誰も彼女がこの別荘にいることを知らないことから、アレックスその電報は自作自演だったことに気づき、絶望する。
二年後、軍人になったアレックスがジョージに会いに行くと、そこにいたのはジョージと暮らすローズだった。
憤慨したアレックスとローズの様子を見て身を引くことにしたジョージは、ヴェニスにいる愛人、ジュリエッタの元へ向かう。
しかし、それを追いかけてローズもヴェニスへ。そこでローズとジュリエッタは意気投合。三人で仲良く生活を共にする。
ジョージが破産したことをきっかけに、ジョージとローズは結婚。ローズは女優の仕事で彼を支える決意をする。
12年後、ローズは女優として大成功していた。
彼女のことが未だ忘れられず舞台を見に行ったアレックスは、ローズに連れられてあの別荘へ。ジョージと娘のジェニーに迎えられた。
更に時が過ぎると、年頃になったジェニーはアレックスに恋をしてしまい…。
とまあ、これだけ言ってもかなりドロドロした恋愛劇です。
私も事前に色々調べたのですが、正直見るまではイマイチ頭に入ってこず…(笑)
名前と関係性がよくわからなくなるので、雑な相関図を作ってみました。
〈ストーリー序盤〉
〈ストーリー後半〉
いや、改めて見てもとんでもない話ですね(笑)
【劇場】
今回の劇場はピカデリーサーカス駅すぐ。中華街の真横にあるLyric Theatre。
そもそも事前に調べていたあらすじに反して随分ピンクで可愛いわ、
と思っていたら中はもっともっとピンクでラブリー💓
LOVEが全面に押し出されていますね!
いつも通りプログラムと、今回はトートバッグも購入してしまいました。
だって可愛いんですもん。
ピンクだし、「ミュージカル」とか書いてないので、デニムとかに持っても可愛いかな~と思いまして。
(といいつつ、一旦部屋の壁に飾っています。可愛い。)
【まさかの出来事】
先程も書いたように、目当ての半分はマイケル・ボールさんだった今回の観劇。
ボールさんがね、アスペクツですよ!
ボールさんと言えば、『Les Misérables』マリウス役のオリジナルキャストで、他にも『オペラ座の怪人』ラウル役でも有名ですが、
本作のアレックス役オリジナルキャストであり、ボールさんと言えば『Love Changes Everything』!というくらい切っても切り離せないイメージが強いですよね!
若かりし日のボールさんが歌う『Love Changes Everything』をどうぞ↓↓
ちなみに、あまりに色々な場所で歌いすぎてJOJことジョン・オーウェン・ジョーンズさんにいじられまくっていたお話はこちら。↓↓↓
そしてそして、今回はなんとボールさんがアレックスではなくジョージ役、ということで見逃せない公演だったわけですが…!
まさかのAlternate、Dave Willettsさんでした!!!!!
なんとプログラムを開いて初めて、月曜ソワレだけはデイブさんであることが判明!
下調べ不足なのか、みんな知らなかったのか…?
ボールさん目当てだっただけに、正直少しショック…。
海外で時々発生する、「役者目当てで行ったら違う人」現象、後から教えてもらって理屈がわかりました!
目玉役者が出ている場合、一週間の中でマチソワ(一日二回公演)の前日はお休み、といのが基本なんだそうです!!
知らなかった~!そりゃ疲れますもんね!
もちろん、これとは別に長期の休暇を取っている場合や、定期的にアンダースタディの方が出ている場合もあるので、お目当ての俳優がいる場合のSNSチェックは欠かせません。大抵事前にご本人がお知らせしてくれています。
これ詳しい方々の間では当たり前の話なんでしょうね…!
ご旅行の際など、ぜひチェックしてみてください!
ところが私の勉強不足でして、こちらのデイブさん、すごい方でした!失礼いたしました !!
なんと世界で初めて『レミゼ~』のバルジャン役と『オペラ座の怪人』ファントム役を務められた方だそうです!!
ファントム役は、マイケル・クロフォードに続く二代目!
そんなすごい人ならむしろレアだし観られてラッキー♪
そして今回、もう一つのサプライズが。
劇場が非常に狭いこともあり、今回は4階バルコニー席最後列の£23のチケットを購入していたのですが、
今回は初めて「事前チェックイン」のお知らせメールが。
要は飛行機のように、「明日実際に来られる人はチェックインしてね」という仕組みらしい。
そんなシステムあるんだ~と、言われるがままにチェックインするとチケットが届きました。
そこに書いてあったのは、
「Stalls D列」
の文字。
え?Stallsって1階席では…??
首を傾げつつもスタッフに聞いてみると、やはり当たり前のように1階席4列目に案内されました!!
えーっ!!£23?!お得過ぎ!!
本来なら£108の座席です!!!
これはあくまで推測なのですが、チェックインシステムを導入することで、前方にできた空席から穴埋めしているようでした…!
上の階の席を除いてもガラガラだったので、そういうことかと…。
もしかするとボールさんが出演しないためにキャンセルが多く出たのか?
詳細は不明ですが、ウェストエンド恐るべし!
このシステム、実際のところどうなんですかね?!
今回私は非常にラッキーでしたが、値段を考えると正規の金額を払っている人からしたらだいぶ不公平な気が。
なんにせよ、日本なら絶対あり得なそうですよね…!
座席からの眺めを撮影してみたのですが、近すぎ&幕が黒、なせいで何も映らず。
あまりの近さを記録したかったのですが、代わりに振り返って無理やり撮ったこちらを一応載せておきます…。
【感想】
さて、思いがけない出来事たちはさておき、初見『Aspects of Love』の感想です!
予習をした段階で、かなり複雑でドロドロの愛憎劇みたいなものを想像していったのですが、予想に反して
とても爽やかで美しかった…!
もうこんな感じです。新緑の色。(どんな感想)
とても不思議な体験だったし、シンプルに興味深かったです。
全体的にぼんやりとした雰囲気だし、物語にはやっぱり共感できないのですが、
「美しい戯曲を観た」という感じ。
演劇は文学だ、と改めて気づかされる。
ジョージの役者さんは、「いつまでも現役バリバリだぜ。若い女の子最高」みたいな雰囲気があるとよくないんだと思います。
ちょっと天然感のある、素敵なおじさまじゃないと。
デイブさん、おそらく現在70歳を超えていらっしゃり、見た目は上品なおじい様。
ジェニーは娘というよりは孫という感じでしたが、こういう上品で素敵なおじい様だったら、若い奥さんや愛人がいても納得~
そりゃそうよ、素敵だもん、って感じでした!
ローズは「都合のいい女」だな~なんて見ていたのですが、Laura Pitt-Pilfordさん、ラストの熱演で彼女が抱えてきた寂しさに心を打たれました。
高音から低音まで綺麗で、一度マイクがキャパオーバーしてバリバリっという音がしたほど(笑)
調べてみたら、アニメ『ドクターストーン』の劇中に出てくる歌を歌われているみたいですね。日本とそんな縁が!↓↓↓
ドクターストーンのリリアンの歌が泣ける!声優とは別の人で歌詞の和訳は? | ワンピース呪術廻戦ネタバレ漫画考察
アレックスのJamie Bogyoさんは、『Moulin Rouge!』の主役クリスチャンのウェストエンドオリジナルキャスト。しかもそれが彼のウェストエンドデビューという怪物です!
なるほど、とても膨らみのある声で素晴らしかったです。
一幕でのキラキラとした夢見る青年と、年月が過ぎ、軍隊も経験した二幕の疲れっぷりのギャップが大きかったです。
ローズのことずっと忘れられなかったんだな…。しみじみ。
あの別荘には魔物?ジョージの前妻の霊?みたいなのがいると思うので、もう行かない方がいいよ、忘れた方がいいよ、と思いながら見守りました。(笑)
(ジョージも毎回「いらっしゃーい♪」って迎え入れるんじゃないよ!)
私が一番好みだったのはジュリエッタ役のDanielle De Nieseさん。見た目も歌声も、サバサバした男前感があって、でも笑顔がキュートで、とっても魅力的でした!
ジュリエッタは本当はローズのことが好きなんじゃないか…という説も後で聞いて納得…。
調べたら、なんとオペラで来日もしていたらしいです!日本でCDデビューも!
ひゃーまたどこかでお目にかかりたい!
ジェニー役の子役ちゃんもめちゃめちゃ上手。
アダルト・ジェニーはプログラムに追補されていたChumisa Dornford-Mayさん。
どことなく広瀬アリスさんに似た笑顔で、元気で可愛くて上手。
アレックス、もうおじさんなんだから手を出さないで!と思いながら見てました。(笑)
お葬式のシーンは少し怖かったですね。
劇団四季バージョンだったらきっとダンスの見せ場なんだろうな、と予想。
また、サーカスが二回登場するのはどんな意味があるのか?
愛憎劇を道化芝居に魅せたいのでしょうか?
アンドリュー・ロイド・ウェバー(ALW)だから少しばかりサーカスティックな一面を期待してしまいます。
ALWと言えば、やはりこの作品を美しく見せているのは音楽なんだと思います。
美しいったらありゃしない。
ALWお得意のリプライズがえぐい。
セリフも一切ないので曲数は多いのですが、掘り下げたら主となるメロディラインは5、6個種類しか存在しないんじゃないの?というくらいの。
サーカスティックといえば、「Love Changes Everything」のリプライズの多さもわざとだろうな、という気がしました。
(名曲だし私も好きですが)やや単調で(JOJさんに言わせれば「つまらない」笑)、取りようによっては少しイラつくくらいの壮大さがありますよね。
登場人物たちが、誰かへの愛を自覚する度に歌われるこの曲。
コロコロと移ろいゆく恋愛劇も、斜めに見れば滑稽。その滑稽さを表しているような気もしました。
それなのに後味爽やか。
何かとてもいいものを観た気持ち。
【終わりに】
いやー、ボールさん回をもう一度観に行くか迷います!!
いや、行きたい!
行くと思います!
観に行ってよかった!
また劇団四季でもやってほしいですね!
今ならどんな俳優さんがやるかな~なんて妄想が膨らみます。(笑)
それでは。また観に行ったら更新します!
ロンドンでミュージカル『Crazy For You』観劇(2023年6月28日)感想
こんにちは、いつも観劇の度に、「ブログ書くぞ書くぞ」詐欺をしているBeeです!
この度はロンドンにて上演中のミュージカル、
『Crazy For You』を観劇してきました!!
いやー本当にこの作品は最高ですね!ハッピー!
ちょうど日本でも劇団四季が同作を上演中。私も先日一時帰国の際に観劇しましてきたので、記憶が新しいうちに印象の違いを含めて感想を書き留めたいと思います!
〈目次〉
【基本情報】
現在ウェストエンドで上演されている本作は、2023年6月23日~2024年1月20日の期間限定。
ロンドンのコヴェントガーデンにある「Gillian Lynne Theatre」にて上演中です。
こちらの劇場は作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバー(ALW)が所有。
長く「CATS」を上演していたことで有名です。
何度も名前が変わっており、現在の名前は
そう!
あの『CATS』や『オペラ座の怪人』の振付家Gillian Lynneの死後にALWによって付けられた名称です。
ウェストエンドで唯一、王族でない女性の名前がついている劇場だそうですよ。
古い劇場が多く、「バリアフリーとはなんぞや!」
なウェストエンドでは珍しくエスカレーターが設置されていました。
が、ワンフロア上った先は延々に続く階段…。
ほんと。そういうとこ。(笑)
四季版クレイジーフォーユーのグッズも可愛いですが、ロンドン版も可愛いものが多かったです!😊
「London」の表記があるマグカップには惹かれましたが、我慢していつも通りプログラムだけ購入。
今回も最安の席を購入していたので、延々と続く階段を上ります。
そして席を探してちょっとびっくり!
二階席の最前最端ということはわかっていたのですが、予想以上の真横アングル!
「ダンス演目だし、二階でいいかな~。最前だし端でも!£28なんて超お得!」
と思っていたら、ほんっとに真横!!一瞬焦りました…!
でも、始まってみればめちゃちゃ近くて役者の表情が良く見えるし、目の前に海外特有の規格外に体格のいい男性が来ることもないし、結果超高コスパ席で最高でした!
初めて観る演目でなければ、超おすすめです!
まあそうじゃなくてもこの劇場、全体的に傾斜も急で、二階席は座席の背もたれが男性の頭より遥かに高く、どこでも見やすそうでした。
やはりジリアン・リンの名前を持つ劇場ですから。ダンス演目が見やすいようにできてるんでしょうかね!だといいな!
そして観客は、たいていどこの劇場にもいる「観劇大好き!ステージドアも行くよ!」なアジア人(自分含め(笑))が全く見当たらないというレアさ。
観光客も少なそうで、ワンピース率が非常に高く、お洒落で粋な本作への意気込みを感じて始まる前からハッピーでした。(何目線?(笑))
【感想・四季版との比較】
比較、とは書きましたが、結局、どんなやり方にしろ、いい意味で、
やっぱりCrazy For Youはいいぞ!
が率直な感想です!(笑)
音楽、ダンス、世界観すべてが最高。楽しい!かわいい!お洒落!面白い!
皆さん共感してもらえると思いますが、「これ好きじゃない人いるの?」という。
客席も大盛り上がりでビッグナンバーの度にテンションが上がります。
まずは、2023年6月のウェストエンドライブでの「Slap That Bass」のパフォーマンスをどうぞ!
全体の雰囲気をお伝えしたところで、キャストの感想を。
主演ボビー役のCharlie Stempさんは最近まで『Merry Poppins』でバート役をされていた、まさに「ダンスで魅せる!」俳優!
私も昨年10月にメリポピで拝見していたので、ダンス(特にタップ)の魅力は認識済み!(過去のブログはこちら↓。やっぱちゃんと記録しておかないとね…)
あのキラキラした笑顔とダイナミックなダンスは、正直バートの時よりもずっと増し増しでよかったです…!
個人的にジーン・ケリー系の役柄(ボビーもバートも私の中ではその括り)が好みで、
「悪意がない強引さとピュアで誠実な色気」が必要な役をピタッと上手く演じてもらった時のワクワクが大好きなのですが、
今回はそれをしっかり体現してもらえた気分です。😁
直前に劇団四季で斎藤洋一郎さんの新ボビーを拝見していたのですが、
洋さんのタップが「キレと優雅さ」なら、
Charlieさんのタップは「軽快さと大胆さ」
でしょうか。(伝わります?)
正直タップダンスに詳しくなく、ぶっちゃけよくわからないのですが、洋さんのタップはいつ見ても「はあああ!これがタップダンスか~」となる私。
Charlieさんはそれとは印象が違いますが、なんかね、カッコよかったです!(唐突に語彙力崩壊)
ピンクちゃん達みんな可愛すぎる…
ポリー役のCarly Andersonさんは、気が強いというよりは、「まっすぐさが可愛い!」の印象の方が強かったです。透き通る歌声も綺麗。
あくまで推測ですが、西洋人の方が日本人よりもぱっと見気が強そうな人が多そうなので、「可愛げ」を重視したキャスティングなのかなーと。
日本だと、いつも強さと可愛さの絶妙なバランスを持った方がキャスティングされているイメージなので、少し新鮮でした!
もう一つ新鮮だったのはボビーの婚約者アイリーン役のNatalie Kassangaさん。
こちらも四季版のイメージで「姉っぽいオトナな魅力の女性」という印象があったのですが、Natalieさん、「天然お嬢様」味が強かったです!
なのでボビーが委縮する相手というよりは、お嬢で世間知らず過ぎて突飛な言動をしてしまう…という印象。
そんな彼女のNaughty Babyめちゃ盛り上がります。そもそもこのビックリ展開にアイリーンの動機説明なんて必要ないよ、という天然アイリーンの説得力。
日本だとNaughty Babyの雰囲気に合わせたキャラクターイメージが作られたのかもしれませんね。どっちもあり~!
その他、ランク役のMathew Craigさん、ザングラー役のTom Edenさん、みんなとてもとてもよかった。
フォーダー夫妻は完全なるコメディ要素。アメリカ人目線の気取ったイギリス人、といった描写。
やや誇張気味のイギリスアクセントに、イギリス人観客たちは大爆笑でした(笑)
アクセントといえば、ザングラーにも独特のアクセントが!
後から調べてみると、なんとザングラーはハンガリー人の設定みたいですね!知らなかった!
この独特なアクセントをザングラー扮したボビーが真似するので、なりきりがわかりやすい。
日本版は言い回しに特徴を設けていましたが、なるほどこれは英語版じゃないとわからない真似っぷりだったのか、と納得!
その他日本版の違いとして、いくつか存在しないコメディーシーンがありました。
例えば、個人的に大好きな、パッツィの
「あたしの胸じゃないの、自分の胸」
はロンドン版にはありませんでした😂(彼女のキャラは同じです!)
たぶん西洋人観客の方が大笑いする率が高いので、日本版の方が微妙にユーモアに凝っていると思います。びみょーうな違いです。
実際、あそこまで客席が大笑いする作品、日本では珍しいですよね。すごい上手くいっている。
セットも配置が違ったり(デッドロックの劇場が上手側!私は残念ながら見切れ)、
ピンクのダンサーちゃんたちは車ではなく床や箱の中からそれぞれ登場したり。
それでも印象的な有名シーンやコメディ部分はほぼ同じく最高のCrazy For Youでした!
あと、小声ですが、ダンス含めた振付は四季版の方が凝ってたと思います。ひとひねり多いです。引くほどの身体能力と練習量を要する部分が四季より抑えめ。四季の方が消費カロリーが多そう。(笑)
ウェストエンド恒例の「周りなんて気にしないわ好きに踊るのよバラバラダンス」は、今回近い席で見ていたので気にならず!でした!(笑)
【まとめ】
Crazy For You存分に楽しめました!
しかも、今回直前に四季版を観ていたのもよかったです。
どちらがいい悪いというのはなく、純粋に作品そのものが素晴らしいのと、
日本版は笑いとダンスのローカライズが非常にうまくいっていることを再認識した、
というのが感想です。
根源を辿ればね、ガーシュインの曲が最高じゃないですか。
(ちなみに私は『パリのアメリカ人』も大好きです。狂ったように好きです。)
普遍の王道ミュージカル、最高でした!
2023年4月2日 オリヴィエ賞授賞式を観てきました
こんにちは、Beeです!
ロンドンも桜が満開の4月、毎年恒例!イギリスで最も権威のある演劇賞レース
ローレンス・オリヴィエ賞の授賞式に行ってきました!
憧れのオリヴィエ賞を、憧れのロイヤル・アルバートホールにて体感するという最高の体験をして参りましたので、書き留めたいと思います!
なにしろ観に行くにあたっての情報収集が大変でしたので、来年度以降、ご興味がある方にとって少しでも参考になれば幸いです。
なお、全編がYoutubeにて公開されています!4時間ほどありますが、ぜひ!
今年の司会者は女優のHannah Weddingham!自身も3度オリヴィエ賞にノミネートされたというすごい方です。(ゲームオブスローンズにも出ていました)
〈目次〉
【概要・受賞結果】
そもそもローレンス・オリヴィエ賞とは、
ローレンス・オリヴィエ賞(Laurence Olivier Awards)は、その年に上演された優れた演劇・オペラに与えられる賞であり、イギリスで最も権威があるとされている。毎年2月に実施[要出典]。イギリス版のトニー賞とも言える。
イギリスの名優ローレンス・オリヴィエの名が付されており、1976年にソサエティ・オブ・ロンドン・シアターにより設立された。
ウィキペディアには毎年2月と書かれていますが、2022年以降は4月に実施されています。
どうやらその前は10月だったようで、毎年変更がありそうなので注意です。
とにかくアメリカのトニー賞と並んで、演劇界では大注目の超重要な賞!
舞台版アカデミー賞といったところでしょうか。
その年の新作舞台に関する多数の受賞部門が設けられ、その作品の関係者はもちろん、プレゼンターとして出席する方々も超豪華!
今回個人的には、
レア・サロンガ、マシュー・ボーン、ルーク・エヴァンス、マーク・ストロング
といった面々を生で観られたのが感激でした!
▽2023年のノミネート、受賞結果はこちら
ロイヤルシェイクスピアカンパニーによる『となりのトトロ』が最多の6部門で受賞したこともあり、日本でも大きな話題になっていましたね!
また、オリヴィエ賞授賞式と言えば合間に披露されるミュージカル作品のパフォーマンスも魅力!
毎年Youtubeで公開されていますが、今年は生で観ることができて大興奮でした!
話題作のいいとこどり状態で最高です。
個人的に特に盛り上がったパフォーマンスのリンクを貼っておきます。
その他も公式Youtubeに上がっているのでぜひご覧ください!
①授賞式出だしのオリジナルソング
授賞式のオリジナルソングが作成されたのは今年が初とのこと!
様々な有名作品の出演者が登場し、ミュージカルアベンジャース状態です。
②『Sister Act』より
私も日本でしか観たことがないのですが、音楽の持つ力を感じる素敵な作品。
このパフォーマンスで涙が出てきました!(笑)久々に観たけど、いい~
今回はベストリバイバル作品賞でノミネートです。
③『Newsies』より
客席巻き込み型のエンターテインメントが最高に楽しかった本作。授賞式でも大盛り上がりでした!
ロンドンではウエストエンドからは少し離れたウェンブリーで2022年11月に初演を迎えました。今回は振付賞を受賞!
④『Sylvia』より
2023年1月から4月1日の期間限定で上演されていた新作。
恥ずかしながら全然情報が掴めておらず、知りませんでした…が、最高にかっこよかったです!
女性版ハミルトンのようなヒップホップ調のパフォーマンス。女性参政権獲得に努めた実在の人物をモチーフにした作品だそうです。
このナンバーをメインで歌唱されているBeverley Knightさんは助演女優賞を受賞!納得!!
ぜひ再演してほしい…!!
その他には、作品賞を受賞した『Standing at the Sky’s Edge』も非常に気になる…!
私が先日観劇してほぼほぼ理解できなかった『Oklahoma!』は案の定リバイバル賞や主演男優賞を受賞しましたね!(案の定。私の勉強不足なんだろうな、と見た直後からヒシヒシと感じていた)
【チケット入手方法】
さて、オリヴィエ賞というと、勝手に「一般人には縁がないんだろうな」と思い込んでいた私ですが、チケット入手は非常に簡単でした!
以前日本アカデミー賞に当選した友人の話を聞いていたので、同じ感じの超高倍率抽選かと思っていました
年末ごろに不意にインスタグラムでチケット発売開始のお知らせを見て、クリックしてみたら、なんとそのままチケット予約ページに跳べるじゃないですか…!
しかも売り切れなんてことは全くなく、最安の席はなんと£40程と、なんなら普通の観劇レベル!
来年以降、該当時期にロンドンにいらっしゃる方は、普通の観劇感覚で出席できますよ!
詳細は公式HPをご確認ください。SNSアカウントをフォローしておくとすぐに情報をキャッチできると思います!
私は今回、£71の三階席を購入。(二、三番目に安い席だったと思います)
ロイヤル・アルバートホールは円形なので、それでも十分見えやすかったです!
三階席で£71というと少しお高めな感じもしますが、実際のところその下の階は明らかにVIPなボックス席。二階には受賞者も座っているような状況でしたので、一般観客は三階がメインのようでした。
(実は三階にも出演者が紛れて、関係作品の名前が挙がる度に大盛り上がりしていました!)
経験の貴重さを考えれば安すぎると言ってもいいほどだったと思います!
しかも、全席プログラム付き。どこで売ってるんだろう~?とキョロキョロしていたら、座席に置いてありました。
なお、関係者が歩くレッドカーペットならぬグリーンカーペットに入場したい場合は、別料金のスペシャルチケットのようなものを購入する必要があるみたいでした。
【ドレスコード】
チケットは気軽に取れると言いましたが、問題はこちらでした(笑)
チケット購入時に、ドレスコードあり、の表記はチラッと目にしていたのですが、
チケット入手のあまりの簡単さに気を抜いていた私。
前に買ったお出かけワンピースを着ていこう〜なんて思っていたら、開催1ヶ月程前に届いたメールにはこう書いてあるじゃないですか!
つまり、
「ドレスコードは絶対ブラックタイ&グラマラスで。場合によっては入場お断り」とのこと。
え、グラマラス…?
と、ここでようやく不安になってきました。
正確にわからないけど、どうやらワンピースにブーツではマズイ気がする…
ということでGoogle検索してみると、
「基本的には、床に届く長さのドレスやガウン。
持っている一番高いヒールの靴を履いて、一番高価なアクセサリーを付けて、爪も綺麗にしていきましょうね」
とのこと…!
ま、まずい…
その後オリヴィエ賞の過去の写真を検索したところ、出てくるのは関係者の写真ばかりでイマイチ参考にならず…
エディ・レッドメインに見合う恰好じゃなきゃいけないの?いやさすがに£71程度の席でそこまで求めないで欲しいよね…?
いやぁサマンサさんと同じレベルを求められてもね…
かと思えば、こういう人も出てくるので混乱。
イギリスだしな、「厳しい規則」なんてどうせ実際は存在しないんだろうな(笑)、
と思いつつも、
イギリスだしな、本当にハイソだったら本当にハイソだよな(笑)…
恥ずかしい思いをするのは嫌だし、せっかく行って万が一つまみ出されたら悲しすぎる…
さすがにセレブたちと同じレベルを期待されている訳はない!と信じつつ、結局は、結婚式に行くくらいの服装ならOKと勝手に判断して腹を括りました。
とはいえ日本からそんな服やアクセサリーは持って来ていなかった私。慌てて買いに行きました…
まあ、海外は日本よりも、びっくりするような露出のドレスがファストファッションブランドのお店で売っていたりしますし、高級ブランドでなくても一応形になる服を探すのはそこまで難しくないはず。
正直この辺りで、
チケット入手があまりに簡単だっただけで、やっぱり一般人が安易に立ち入る場所じゃなかったんじゃ…?
という不安でいっぱいだったのですが、とにかくせっかく行くのだから、ドレスコードで弾き出されるのだけは避けたい!といで必死の思いでロンドン中のお店を駆け回りました…
最終的に、£60程度のロングドレスとキラキラバッグを購入。靴だけは、大好きなブランドで今後も捌けそうなヒール靴(10cmくらい)をゲットしました。(幸運なことにセール中でした)
そして。内心ハラハラしながらも、当日。
皆さんこんな感じでした!
全員が全員ハイヒールな訳でもないし、シャツにパンツで決めている女性や、ブラックタイをせずに民族衣装の男性、ドクターマーチンを履いている方も見かけました!
足をお怪我されているようで、スニーカーの方も。
私の写真は載せませんが、一応引け目を感じることなく過ごせましたよ!
もちろん、絶対高い布とそうでない布、よく見ると明らかなのですが(笑)、
基本的には大体の人が、
「わーっ!憧れのオリヴィエ賞よ!せっかく着飾ったから写真撮ろう!!」
のテンションだったので、一安心。
やはり明らかにカジュアルな服装の人はいませんでしたが、基本的には本人がグラマラスだと思う形で決めていれば大丈夫そうでした。
入場をお断りされている人も、見た限りでは見かけませんでした!
特に最近はジェンダーの観点から、ファッション多様性は幅広く認められているように感じました。
ということで、もしオリヴィエ賞に参加される際は、
(常識的な範囲で)自分なりに最高のパーティーオシャレを!
という結論になるかと思います!
ちなみに、まだまだ10度前後と寒いロンドン。皆さんダウンやコートを羽織って来ていました!
荷物についても、大きな物は持ってこないようにと注意書きがありましたが、ミュージカルのトートバッグを持っている人もいました。
結局は演劇ファンの祭典。思いは一つでした!
【会場の雰囲気】
ロイヤル・アルバートホールと言えば、個人的には『オペラ座の怪人 25周年記念公演』のDVDで知って以来ずっとあこがれていた会場!
ヴィクトリア女王に捧げられたという、1871年開場の大変格式高いホールです!
チケットに「Door6から入場してね」と書かれていたので、見つかるかな~ときょろきょろしていたら、なんとバス亭の目の前がDoor6。わかりやすかったです。
余談ですが、ドレスコードの件もあり、
もしや普通に公共交通機関で来る人なんかいないんじゃないか…?と恐々バスで向かった私ですが、皆さん全然普通にバスや地下鉄で来ていました。安心。
入口でチケットと手荷物のチェックを終えたら、いよいよ入場です。
入場後すぐにトロフィーを持って写真を撮れるブースがあったので、大混雑でした!
係の人が撮影してくれます。
こんな感じの写真が撮れます。ちなみにこちらはDear Evan Hansen初演のSam Tuttyさん。
私ももちろん写真を撮りましたが掲載は控えます(笑)
とにかく、この雰囲気を生で味わえたことが最高の思い出になりました!
【まとめ・注意事項】
念のため、チケット購入後にお知らせされた注意事項だけ再度まとめておきます。
- ドレスコードはブラックタイ&クラマラス
- 5:30までに必ず着席(※参考。今回の時間)
- グリーンカーペット入場なしの場合は必ずDoor6を使用(※参考。今回の会場)
- スロープありの入口はDoor8のみ(※参考。今回の会場)
- 再入場不可
- チケット引き換えはDoor8(※参考。今回の会場)
- 大きな手荷物は持ち込み禁止。荷物検査あり。(※スーツケース等の大きさの荷物と思われます)
- 時間に遅れた場合、入場可能なタイミングまで待機する必要あり
授賞式の内容自体はYoutubeで本編映像を観て頂ければ十分伝わるかと思います。
とにかく前情報が少なく準備に不安があったので、
オリヴィエ賞、結構気軽に行けちゃうよ!
一応ドレスコードだけ注意だよ!
が伝われば幸いです!!開催時期にロンドンに行かれる場合は、観劇予定にプラスできちゃいますよ!
長くなりましたが、最後に。
Lifetime Achievement Award(生涯厚労賞)を受賞されたSirデレク・ジャコビさん。
受賞演説の中で、演劇のチケットの値段が高すぎることによる演劇界の未来への懸念について話されていました。
うん。
切実!
現場からは以上です!
ロンドンでミュージカル『Moulin Rouge!』観劇(2023年1月23日)感想
こんにちは、Beeです!
先週のことになりますが、ロンドンでミュージカル『Moulin Rouge!』を観劇して参りましたので、感想や日本版への意気込み(笑)を書き留めたいと思います!
〈目次〉
【『Moulin Rouge!』とは】
文字赤くしてみました(笑)。
知ってるよう!という方は飛ばしてくださいね。
そもそもムーランルージュとは、パリのモンマルトルに実在するキャバレーのことで、
フレンチカンカンなんかのショーが有名な場所です。
今でも立派な観光地で、普通に訪れることができます。
残念ながら私は行ったことないです…。あ、あそこなんだ!と思って通り過ぎたくらい…。次回!
そして実在するこのムーランルージュを舞台にして作られたのが2001年上映の映画『ムーラン・ルージュ!』です。
ユアン・マクレガーとニコール・キッドマン主演のこの映画。
今回はミュージカル版にフォーカスするので映画版については触れませんが、あらすじはミュージカル版とはやや異なります。
いよいよここから話題をミュージカル版に移します。
映画版をもとに2019年にブロードウェイで初演を迎えた本作。
映画版『レミゼラブル』のアンジョルラス役でも有名なアーロン・トヴェイトが出演したことでも話題になり、その年のトニー賞では作品賞・主演男優賞を含む10部門で受賞しました。
この作品の最大の特徴は、既存の楽曲を使用したいわゆる「ジュークボックス・ミュージカル」であるという点。
「マンマ・ミーア!」や「ジャージーボーイズ」なんかがこれに当たりますね。
ただ、時代もジャンルも超えてここまで多様な楽曲を使用しているジュークボックス・ミュージカルは他にないかも。
使用楽曲は、マドンナやレディー・ガガ、アデルなどの、普段洋楽をあまり聞かない方でも一度は耳にしたことのあるような有名なものばかりです。
唯一の作品オリジナル楽曲は『Come What May』。
本当にこちらの一曲だけ!そしてめちゃめちゃいい曲です!
【あらすじ・登場人物 超簡単まとめ】
こちらも、知ってるよう!という方は飛ばしてくださいね。
〈主要人物〉※青字はミュージカルオタクに伝われ!の説明
- サティーン:ムーラン・ルージュの大スター。超美人! レントのミミ、鐘のエスメ系。
- クリスチャン:作曲家を目指す青年。優男。 レミゼのマリウス系。
- ジドラー:ムーラン・ルージュの経営者。 キャバレーのMC、鐘のクロパン系。
- デューク:サティーンを気に入り、ムーラン・ルージュの財政に手を貸す。ヴィラン!
- トゥールーズ・ロートレック:足に障害を抱えた画家。サティーンを愛しているが、クリスチャンと友人になり、二人を陰から見守る。 パリアメのアダム系。
- サンティアゴ:タンゴダンサー。クリスチャンとトゥールーズの良き友。よくいる清涼剤タイプ。
- ニニ:サティーンに次ぐダンサー。2幕冒頭サンティアゴとのタンゴが見せ場。 サイゴンのジジ系。
ちなみに、ロートレックは実在の画家。
美術に疎い私も一度は教科書で見たことがありました。ムーラン・ルージュに通い、よく踊り子の絵を描いていたそうです。
〈あらすじ〉
19世紀末、アメリカからパリにやってきた作曲家志望の青年クリスチャンは、そこで知り合ったトゥールーズ、サンティアゴに連れられて訪れたムーラン・ルージュの大スターであるサティーンに一目ぼれする。
サティーンの方もクリスチャンに恋をするが、ムーラン・ルージュの経営難ゆえに援助を必要とするジドラーは、公爵デュークの援助を得るため、彼女を愛人として引き合わせようとしていた。
いよいよデュークがサティーンの楽屋を訪れるという時に密会をしていたサティーンとクリスチャンは、(トゥールーズたちも乱入)デュークにその場を目撃されてしまう。「新作舞台の打ち合わせをしていた」と嘘をついたクリスチャンたちは、その場の即興で新作舞台のプレゼンを行う。
プレゼンは大成功し、デュークはクリスチャンたちを制作陣として迎えた新作舞台を援助することになった。ただし、もちろんサティーンもデュークのものに。
サティーンとクリスチャンはデュークに知られないよう、舞台稽古を進めながら秘密の関係を続けるが、実はサティーンはある病気を抱えていたのだった…。
【劇場】
前置きが長くなりましたが、今回私が観劇したロンドン公演は2021年に初演を迎え、現在ウエストエンドのthe Piccadelly Theatreで上演されています。
the Piccadilly Theatreは、地下鉄Piccadilly Circus駅を出てすぐ。
「Theatre」の表示を辿って出口を出ればすぐに赤い光が見えてきます!
入場してすぐ右にはグッズ売り場がありました。
いつも通りプログラムを購入したかった私ですが、ここで売ってるのは写真メインの大きいプログラムだけとのことでした。
キャスト情報が載っている小さい方はバーでしか売ってませんでした。
そう、余談ですがウエストエンドって、大抵プログラムが2種類ありまして、
・大きくて値段が高い方(写真がいっぱい。文字ほぼなし)
・小さくて値段が安い方(キャスト情報や作品関連情報が載っている)
のどちらかになります。
私は、よっぽど大好きな作品か、好きな役者さんが出ている場合以外は小さい方だけ買うようにしています。
そして客席に入ると、これまた真っ赤!
若干ネタバレになるかもですが、開演前からキャストが舞台上にいて演技をしてるので、早めに劇場入りしておくとよいかも!
私はプログラム買うためにバーに並んでいたので結構ギリギリに。もう少し前から見ておきたかったなぁ。
【感想】
一言で表すと、
爆烈エンターテインメント!
でした!
とにかく盛り上がる。楽しい。ライブ!
とはいえ、私も盛り上がりつつ、正直なところ一幕は「楽しいけど好みではないなぁ」の気持ちで観ていました。
ジュークボックス作品の特性かもしれませんが、
みんな知ってるでしょー?!
さあこの曲くるよ!
盛り上がれー!
のテンションで有名楽曲を絶え間なく畳みかけてきます。
なのに物語の展開はテンポ遅くて進まない。
ミュージカルを普段見ない人でも盛り上がれるのが魅力なんだろうな、と思います。
ただ、日本公演だと、和訳された有名ポップスを同じテンションで大量供給するとなるとどうなんだろう、なんて考えながら観ちゃいました。
いくら誰でも聞いたことがある曲たちとはいえ、ミュージカルファン層に刺さるのかどうか…?
(あと、もはやウエストエンドお決まりですが、ダンスのバラつき。この作品こそ、もうちょっとどうにかしてほしい…。)
ところが、
二幕で印象激変!
物語展開はスピードアップし、一幕の「ショー」の印象から一気に「愛の物語」へ変貌を遂げていきます。
そして何より、
クリスチャンやばい!!
一幕では優男の印象が強かったクリスチャンですが、物語が深刻化するにつれて徐々にやさぐれていきます。
クリスチャンを演じるJamie Muscatoさん。その演技力と歌唱力にとんでもなく説得力があって、一気に引き込まれました!
特に一番有名なナンバー『Roxanne』、呼吸忘れました…。
これがウエストエンドの実力…!!
物語展開的にも、劇中劇とのシンクロが効いていて見応えがあり、結果的にはミュージカル大作としての満足感が非常に大きかったです!
そしてJamieさん、観ているうちに「あれ、この声と顔、どこかで絶対観たことあるな…」と思ったら!
案の定!『Les Miserables』25th記念コンサートのJoly役の方でした!!
DVDでいつも見てた方…!感動が更に深まりました!
話は若干逸れましたが、一幕と二幕で違った盛り上がり方をする作品だったな、というのが一番の感想。
色々とひっくるめてとにかくエンターテインメント性が強い作品。
主題になっている
「Truth」「Beauty」「Freedom」「Love」
を存分に味わいました…!
結果的に見応えたっぷり、最高でした!
帰り道、普段あまり飲まないビールを買って帰りました。
←興奮伝わりますでしょうか。(笑)
【日本公演に向けて(おすすめ予習法と個人的期待】
さあ!この「Moulin Rouge!」、日本でも2023年夏に帝国劇場での上演が決まっています!
キャストも発表され、非常に楽しみですね!
最後に、おすすめの予習法と、個人的な期待をまとめます。
予習として、一番手っ取り早いのは映画を観ること。
それから、Broadwayオリジナルキャスト版のCDを聞くこと。
ここまでは普通だと思いますが、本作の場合はもう一つおすすめ予習法が。
繰り返しになりますがジュークボックス・ミュージカルということで、PlayBillの公式サイトが、元ネタの楽曲たちをセットリストとしてまとめてくれているのです!
初観劇の前には基本予習しないスタンスだけど、ポップスにあまりなじみがなくてついいていけるか不安…
という方に非常におすすめです!!
「ああ、あの曲ね!」という、本作ならではの楽しみ方ができると思います!
そして、最後に日本版への期待。少し偉そうな言い方になってしまうかも。
キャストも発表されましたが、
個人的に、重要になってくるのは以下だと思っています。
①クリスチャンの歌唱力
とにかく歌うまじゃないと。ここ超重要。前半ポップス聞かせるのに対して後半は感情むき出しの歌唱に乗せた演技力が大事になってきます。
私はクリスチャンの力に引き込まれた部分が大きかったので、個人的にはここ最重要かと。とにかく歌唱力大前提の、いろんな幅広の表現力が必要。
②サティーンのスター性
歌もダンスも大事。とはいえ、それらも含めたスター性が大事すぎる!
そもそもムーランルージュのトップスターにして、主要キャスト唯一の女性。老若男女を惹きつける色気が欲しい!
ロンドンのMellisa Jamesさん、とにかくスタイル抜群で神々しかったです!
③ダンス
特に女性陣。「ムーラン・ルージュ」という場所そのものの特異性が再現されるかが、その華やかさと迫力にかかっていると思います!
ここ、ロンドンで若干怪しく、「たぶん日本の方が上手くまとまるだろうな」と思ったところです。
④トゥールーズの演技力
ミュージカル作品によく出現する狂言回し(アダム、チェ、ルキーニetc...)までとはいかないが、自分の劣等感を抱きながらも自分の芸術を貫き、サティーンとクリスチャンを静かに見守る彼の目線は、シンプルな商業エンターテインメントから一線を画すためには超重要かと。
⑤デュークのヴィランズ感
これはもう文字通りです。悪ーいクセつよ俺様感ください。
⑥ジドラーとサンティアゴのエンターテインメント力
とにかく盛り上げてください。
【最後に】
非常に長くなりましたが、「Moulin Rouge!」観劇して本当によかったです。
ロンドンを訪れた際にはぜひ。そして日本公演が楽しみすぎますね!
ロンドン Victoria & Albert Museumにて開催中のミュージカル展に行ってきた!
こんにちは、Beeです!
久々の更新になります…。
ずっと書かなきゃ書かなきゃと思っていたのですが、観劇したあとにそれをまとめる時間がなかなか見つからず…。直後に書かないとまた忘れ…。
それを繰り返しているうちになんだかんだ時間が経ってしまいました。
ようやく再開します!
とはいえ今回は観劇記録ではなく、博物館記録です。
というのも、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にて、2023年11月までの期間限定でミュージカルの展示を行っているのです!
こんな感じでしたよ~というお話。
目次
【Victoria & Albert Museumの概要】
美術館・博物館に詳しくないので、ウィキペディアを拝借します。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ヴィクトリア・アンド・アルバートはくぶつかん、Victoria and Albert Museum)は、現代美術や各国の古美術、工芸、デザインなど多岐にわたる400万点の膨大なコレクションを中心にしたイギリスの国立博物館。本館は首都ロンドンのケンジントンにある。ヴィクトリア女王(1819年 - 1901年)と夫アルバート公(1819年 - 1861年)が基礎を築いた。略称「V&A」。
場所は地下鉄ピカデリー線のサウスケンジントン駅からすぐ。
「Museums」という表示に従って地下道を進めば外に出なくても簡単にたどり着けます!
国立ということで、入場料無料なのが魅力ですね!
私は地下道から入場しましたが、あまりにすぐに展示が始まるので、なんだか途中乱入者感がありました。(笑)
地下入場が楽ですが、外観も素敵なので地上エントランスからの入場もおすすめです。
ロンドンでミュージアム巡りをするとしたら、大英博物館やナショナルミュージアム、テートモダン、などと合わせて訪れたい有名スポットです。
有名デパート、ハロッズのすぐ近くですし、何より入場無料!博物館・美術館好きの方はもちろん、雨の日の観光にもおすすめ。
【期間限定ミュージカル展】
これだけおすすめしておきながら、そこまでミュージアムに詳しくない私。
それでも今回V&Aを訪れたのは、お目当ての展示があったからです。
その名も、Re:Imaging Musicals
こちらは2023年11月27日までの期間限定公開で、2階に常設の「Theatre and Performance」コーナーにて開催されています。
地上4階(日本で言う5階!)地下1階建てで、なにしろ巨大なこの博物館。
迷うかな~と思いきや、「Theatre & Perfomance」の表示に従って行けば案外簡単に到着。
今回私のお目当てはこちらのミュージカル展だけだったので、その他貴重なコレクション達はスルーさせて頂きました。(笑)
そしてコーナーに入るとまずこちら!
どどん!
サラビ~!!!
興奮すると同時に、
いや、ウェストエンドミュージカルじゃないんかい、
という微妙なツッコミも。(笑)
とはいえすぐに「Starlight Express」で使用されたローラースケートの展示なんかもあり、大興奮でした!
衣装の他にも、コーラスラインの「Music and the Mirror」の楽譜なんかも展示されていました。
あまり写真をたくさん載せてしまうと面白くないと思うのでこれくらいにしておきますが、
衣装や初演時のポスターなどを中心に、他にも多くの作品にまつわる貴重なコレクションが展示されていました!
この中でも、作品テーマごとにいくつかの展示スペースに分かれていて、想像よりもずっと広かったです!
特に見応えがあったのは、色々なミュージカルの名場面を集めた映像コーナー。
撮影禁止だったので何も載せられないのですが、観たことのない作品もたくさんあり、なかなか席を立てませんでした(笑)
だいぶ長いことそこに座っていた気がする…。
個人的には、Wicked や the Wizard of OZ と合わせて「オズの魔法使い」原作コーナーで紹介されていた「the Wiz」がだいぶ気になりました。
小劇場で、ヒップホップな雰囲気のシーンがたくさん。観てみたいです!
(ご存じの方いらしたらぜひ教えて下さい!)
その他にも、新作「Matilda」の衣装もあり、早く観なきゃ~!の気持ちに。
日本での初演も待ちきれませんね!
【まとめ】
今回初めてこちらの展示を観に行ってみましたが、
ミュージカルファンの方なら行って損はないです!
なにしろ入場無料ですからね!
欲を言えば、博物館ショップでミュージカルポスター系のお土産なんかがあると良かったな…(笑)
残念ながらお土産はありませんでしたが、売っていたら散財してしまいそうなので結果オーライですかね!
展示期間中にロンドンを訪れる機会がある方は、観劇の合間に、休憩がてらぜひ!
改めてこちら、2023年11月27日までの期間限定です!
【おまけ:V&Aのカフェ】
V&A、カフェも充実していました!
私もお昼のタイミングを逃して小腹が空いていたので、コーヒーとアールグレイ風味のスコーンを頂きました。
スコーン(£5.5)は結構なサイズ感でしたが、意外に軽くて食べやすいタイプでとってもおいしかったです♡
余談ですが、スコーンって、やたら重たくておやつのレベルを超えるパターンもあるんですよね…
こちらは、大きくて、サクサクで軽い、大変好みなスコーンでした。満足!
その他にも、値段は少しお高めですが気になるものがたくさん!
と、V&A、観光の合間のカフェ利用にもおすすめです。
ロンドンを訪れた際は、ぜひ!