こんにちは、Beeです!
前回に引き続き、ロンドンウエストエンドにてミュージカル『Frozen』を観劇した際の出来事を書き残したいと思います。
率直な感想に加え、日本の劇団四季版との比較をメインにお話します!
ブロードウェイ版は観ていないので本当にあくまで個人的な経験に基づくお話になります。観たことある方、ぜひ違いを教えてください!
〈目次〉
【全体の感想】
まずは率直に。とってもよかったです!
基本的に四季版と同じですから、もちろん観る前の不安は一切なかったのですが、期待以上の見応えでした!
このあと四季版との比較の項でも触れますが、シンプルに「ショー」という感じ。
(四季ファンの方に向けてはあえてこう言いましょう。「ショウ」。)
客席も大盛り上がりで、終始笑いが絶えない。
パワフルでダイナミックな舞台でした!
【四季版との比較】
全体的な印象の違い編
四季版「アナ雪」は、みんなが知っている「ありのままで」や「生まれて初めて」 などの多くの名曲を印象的なシーンとして華やかに見せつつ、エルサとアナの姉妹愛をベースにした感動的な人間ドラマとしてまとまっているイメージでした。
時にクスッと笑いつつ、感動の涙を流しつつ、大好きなキャストの皆さんの歌や演技をじっくり楽しむ… みたいな。(あくまで個人の感想です。)
一方でウエストエンド版は全体としてエンターテインメント要素が全面に押し出されたショーの印象。
とにかく8割の場面で客席は大笑い。キャストも演技中に客席が落ち着くのを待ってます。(すごいですね。お笑い芸人ばり。)
その分生オケが効いていたし、ライブ感が強かったです。あれ?アナ雪ってコメディだったの?と驚くくらい。
例えば、「扉あけて」終わりの、複数カップルのキスシーン。
私が初めて観たときは一瞬「ん?」と思った後に心の中でクスっとしました。
実際客席はいつも静かなままだと思うのですが、ウエストエンドでは大笑い。(笑)
あ、ここ笑うシーンだったのね、となるわけです。
他にも、「ヒュッゲ」。
これはもうお察しのことと思いますが、「ファミリーのみんな」が初めて出てきた瞬間から大爆笑です。
おそらくBW版も客席の反応は同じでしょう。(観た方教えて下さい)
客席あっての舞台。芸術作品というより、「ショー」だな、と。
同様に、海外の舞台ってアンサンブルの動きのバラつきが気になりがちなんですが、それも逆に舞台をダイナミックに魅せていた印象。
海外で『ライオンキング』や『アナスタシア』を観たときは、総振りのグチャグチャが気になりすぎて、「絶対日本の方がいい!」なんて思いましたが、(個人のスキルはもちろん高いのでしょうけど)、『アナ雪』の場合はそれもプラスに働いていたかも。
日本、特に四季ってとにかく舞台全体のバランスとか整い方が素晴らしいじゃないですか。練習量が全然違うんだと思うんですけど。
その分、
四季版『アナ雪』の方が「ドラマ性があって綺麗」
ウエストエンド版の方が「パワフルなエンターテインメント」
だったかな。と思います。
結論、どちらもあり。(笑)
「アナ雪」に何を求めるか、が国民性によって違うのだと思います。
ただ、ほぼ全キャラクターがいつでも笑いを取っていたことでより際立っていたことがあります。
エルサだけが全く笑いを取る要素がないのです。
それがエルサの生真面目さや不安、恐怖を際立たせていました。
四季版はそこをエルサ役の皆さんの演技力でカバーしないといけないんだろうな、と思います。すごい。
かといって、もちろんウエストエンドのエルサは演技をしていないと言いたい訳では決してないです。(笑)
だってすごいんですよ、サマンサエルサ。
詳しくはキャスト編にて。
細かい違い編
箇条書きでいきます。
- 戴冠式、外した手袋はアナに渡してアナから受け取る。(←え?!)
- 「愛の何がわかる」吊り橋は無し。代わりに最初から下手側に手すり付きの階段が用意されており、アナとクリストフはそれに登る。二人が進むにつれて階段も上手に移動。ぶら下がることはなく、二人とも地味にちょこちょこ足を踏み外す。
- 「ありのままで」プロジェクションマッピングの映像が違いました。舞台真ん中には実際に丸い踊り場付きの階段が。氷の城のシーンの時は常に階段あり。
- 幕間の紗幕はアレンデールではなく雪に埋もれたオーケンの山小屋
- オーケンのアドリブがない!
- フィナーレでは、エルサとアナが立つ中央の舞台が丸く持ち上がり、その周りの他キャストたちはぐるぐる回る形式。これも二重盆というやつ?
- (おまけ)冒頭姉妹が歌っているとき、後ろの窓ガラスの向こうでストレッチするアンサンブルの方の腕が思いっきり見えてました。バルコニーだったからとはいえ…雑…(笑)
覚えている限りではこんな感じ。
【主要キャストについて】
エルサ Samantha Barks
サマンサさんといえば、映画「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役で超有名ですよね!
その前にも「レ・ミゼラブル」ロンドン25周年記念コンサートでご存じだった方も多いはず。とにかく超超超すごい方です!
2020年には『CHESS』の来日公演にも出演されていました。ラミンさんとサマンサさんが日本で全編ミュージカルをやる!ということで皆大興奮したアレです。私もこの時に初めて生サマンサを観ることができました!素晴らしかった。
ウエストエンドの『Frozen』でエルサのオリジナルキャストとして発表された時も大盛り上がりでしたね!
圧巻の歌声。声の表情だけで苦悩が伝わってくる演技。
観る前からエルサにぴったりなのはわかっていましたが、やっぱりすごかった。
「危険な夢」から爆音出してくるので、「えー!大丈夫なの?!」と思ったけどなんのその。余裕に歌い上げます。
四季エルサ達の場合、この場面の震えるような心こもった歌声にいつも泣かされている私ですが、歌唱力全面押し出しのサマンサエルサも、大あり!
「ありのままで」は、英語版の歌詞で映画と同じということもあり、「これこれ!アナ雪!」という感じです。(語彙力)
「モンスター」も素晴らしかったです。一曲で1万円超えのコンサートを観た気分。
かといってただ歌声で持っていくだけでなく、ラストの演技には泣かされました。
バルコニー席で表情なんて全く見えていませんが、声色にボロ泣き。
先程も述べたように、大騒ぎの客席もこういったエルサの場面だけは深刻な雰囲気に包まれていました。
サマンサさんが出てるうちに観に行ってよかった。
アナ Sarah O'connor
普段はStephanie McKeonさんが演じられていますが、この日はアンダースタディで普段はアンサンブルをされているサラさんでした!
元気で可愛いかったです!歌もすごい~!
ただ、日本の可愛いアナ達とは違う可愛さ。プリンセスのキュートさというよりは、とにかく爆発するような明るい可愛さです。
なんせ歌声が、日本だったらパワーシンガーに分類されるんじゃないかというような厚みのある声。新鮮でした!確かにこういう可愛さもあるもんね、という。
そういった意味で、アナのキャスティング部分が一番、ローカライズ大成功!という気がしました。
クリストフ Obioma Ugoala
写真からイメージするよりも、もっとずっとずっと本当に大きかったです!(笑)
バルコニー席からでもわかる大きさ。かっこいい。
声も見た目通りの重たいかっこいい声でした。
変わった奴、というよりは、大声でまくし立てるタイプのクリストフ。
こう見えて、実はアナと性格が似ているよ、という感じがわかりやすくてとてもよかった。生の人間に慣れていないとか。
改めて、アナとクリストフの相性って大事なんですね。
オラフ Craig Gallivan
オラフの表情も外国人でした!(笑)
アナ同様、ここもローカライズすごいなと思ったところ。
眉毛や口の動きが激しくて、めちゃめちゃ表情豊かで楽しい!
でもあの表情を日本の舞台でやったら浮くと思うんですよ。日本のオラフはとにかく抱きしめたくなる可愛さの方が強くて、たぶんとても我々日本人に合っている。
パペット技術もすごかった。歌もよかったです。
ハンス Oliver Ormson
なんかちょっと見た目エリックかガストンっぽいハンスです。(笑)
さすがの歌うまでした!
カテコでハンスが出てくると、「フゥーッ」からの「Booooooo!」ってなったのが面白かったです。あれ嬉しいだろうな(笑)
ウェーゼルトン Richard Frame
オーケン Jak Skelly
ウェーゼルトンのリチャードさんは大物演技派俳優のオーラがすごかったです!
四季版ほど、体の動きで笑いを取る感じではなかったですね。演技で持っていく感じ。
オーケンは、先ほども書いたように2幕冒頭のアドリブは無しでした!(BW版はどうなんでしょう?!)
いきなりアナたちが登場して、お店が開くとオーケンがそこにいるスタイル。
「君たちの目はそう問いかけているね」もアナ達に向かって言っていました。
日本版は、ここに笑いをぶち込んで休憩後のいきなりヒュッゲに客席が驚かないように作りこんだのだったりして…と想像してみたり。
スヴェン Mikayla Jade
なななんと!スヴェン役、女性でした!!!全然知らなかった…
この後のおまけでも書きますが、今回ステージドアで唯一お話できたミカイラさん。
背が高くて明るくて素敵な方でした…!
別のお客さんに話しているのが聞こえたのですが、オーストラリアでスタントのお仕事をされていた時に声がかかり、オーストラリア公演でスヴェンを演じたそう。
少なくとも向こう一年はロンドンでスヴェンをやると仰っていました。
「誰も私のことしらないでしょ~」なんていいつつ自前のペンを取り出してサインしてくださって、気さくでおちゃめ!
写真も撮っていただいたのですが、ここには載せませんね(笑)
【終演後】
ステージドア
ご存じの方も多いと思いますが、ロンドンやNYでは、終演後ステージドア(楽屋入り口)でのキャスト出待ちが盛んです。
出演者の方々も、当たり前のようにニコニコとサインや写真に応じてくれます。そしてむちゃめちゃ喋ってくれます。
(例えばラミンさんとかになるとちょっと別な時も。大人気なので、こちらがちゃちゃっと言いたいことだけ言って終わりでした。それでも立ち止まって聞いてくれた思い出。)
Theatre Royal Drury Laneのステージドアは、入口を正面に見て左側にありました。
日曜日はマチソワ公演があり、私が観劇したのはマチネだったのであまりたくさんのキャストにお会いできる期待はしていなかったです。
待っていたのも15人くらいと少なめ。
終演後20分程でアナ役のサラさんが出てきましたが、どうやら一組がお友達だったらしくずーっとお喋りしてました(笑)。
その奥でプログラムを抱えて気まずい表情の出待ち組(笑)。
そのあとでスヴェン役のミカイラさん登場!日本人なのー?!と大喜びしてくれました。
不思議な出来事
余談ですが。
たぶんサマンサさんに会いたい人がほとんどだったと思うのですが、段々みんなあきらめて帰っていく中。
どうしようかなーと考えていると、気づいたら小さめのトラックが来ていて、搬入係と思われるおじさまが、その中から道路に次々とFrozenの衣装を並べている?!(扱いが雑!)
何事かと眺めていると、「新しいキャストのリハーサル用に搬入してるんだよ~」と気さくなミカイラさん。
へ~と思っていたら、搬入係のおじさまが突然話しかけてきました。
「日本人なんだって?うちの車、『ドライブマイカー』の車なんだよ!」
という話から始まり、
「いつ来たの?『Dear Evan Hansen』観た?」
「『SIX』は絶対観なきゃだよ」
「『Back to the Future』も超おすすめ!」
「テッパンは『ライオンキング』でしょう!」
とミュージカル談義が始まりました…
「一番好きなのはオペラ座の怪人かなあ?ライオンキングもちろん大好き。」
と答えると、トラックの片隅に雑に梱包されたザズの写真を見せてくれました(笑)
そしてなぜか、
「ファントムTシャツ今日持ってたかな…あ!待ってライオンキングならある!」
と言ってトラックに戻っていき、新品のライオンキングマグカップをくれました。
新品だからいいか…と持ち帰り、使っています(笑)。
ありがとうだけど、何だったんだろう…?
『Frozen』の思い出、ムファサマグで完結。
【おわりに】
長くなりましたが、とにかく映画お好きな方、四季版アナ雪お好きな方には絶対おすすめ!
新たな視点で物語を楽しめましたし、ウエストエンドキャストの実力も存分に味わえました!
ロンドンに旅行される方はぜひ!